近年「終活」という言葉をよく見聞きすることが多くなっています。人生の終盤を迎え、自分の残りの人生を充実させたい、残された家族の負担を減らしたいことを主な目的とし、身の回りの不要なもの処分、医療や葬儀に関する希望(介護・終末治療、家族葬他葬儀の方法)、死後の財産をどうようにしたいかという具体的な活動や準備のことです。急速に進む少子高齢化、介護人材不足、社会保障制度の不安などが背景にあるといわれています。
さらに、エンディングノートや遺言書を作成することも終活の一つとして注目されています。私ども行政書士はその遺言書の作成に関するご相談やお手伝いを業務としてお受けしております。
①遺言書の作成と保管
遺言書有りと遺言書無しの場合では、相続手続きが大きく変わってきます。残された相続人に負担を掛けないでスムーズな遺産分割手続き行うには遺言書は重要な役割を担います。無効にならないような遺言書の書き方やその保管方法についてご相談してください。
1.遺言書の作成
遺言書は遺言者の所有する財産の分割を具体的に、誰に、何を、どれだけ相続させるかを伝え残すことです。しかし、死後その遺言書の存在が明らかになり、遺言者の意思が有効に実施されることが重要です。そのために重要なのはその保管方法です。
遺言書の保管には1.自筆で作成して自宅等での保管、2.自筆で作成して法務局での保管、3.公正証書による公証役場での保管の3パターンが考えられます。
1.自宅保管
遺言者が自筆した遺言書をその存在を秘密にして死後発見されるのを待つのか、事前に信頼できる相続人他にその存在を伝えたり、預けることで遺言者の死後に自分の意思を伝えることができます。
<メリット>
・遺言者の負担が軽い。
<デメリット>
・発見されない、紛失、改ざんの恐れや形式や内容が法的に無効となる場合がある。
・家庭裁判所での検認手続きが必要。
2.法務局で保管
自筆した遺言書を法務局に保管申請をして保管証を受け取る。遺言者の死後、それを発見した(又は事前に預かっていた)相続人は法務局で遺言書の内容の証明書を受け取ることができます。また、事前に通知される推定相続人、受遺者、遺言執行者が指定すれば、遺言者の死亡を確認後、法務局からその者へ通知されます。
<メリット>
・法務局で保管されるので紛失や改ざんの恐れがなく、形式面で無効になることもない(内容の有効性は保証されない)
・事前に申請すれば、遺言者の死後に法務局から通知が届く。
・家庭裁判所での検認は不要。
<デメリット>
・遺言者本人が直接法務局に出向き、担当窓口で遺言書を提出する。
・保管申請には料金が掛かる。
3.公証役場で保管
遺言者が公証役場で2人以上の証人の立会のもとで、遺言内容を口述してそれを公証人が筆記・記録します。原本を公証役場で保管し、正本と謄本が受け取れます。相続人には通知がされないため、遺言書を預かっていない場合は、遺言者の死後、相続人が公証役場に連絡して遺言書の有無を確認する必要があります。
<メリット>
・公証人が作成するため形式や内容が無効になる恐れは低い。
・公証役場で保管されるため紛失や改ざんの恐れがない。
・家庭裁判所の検認不要。
<デメリット>
・手続き費用が高い。
・保証人の手配と遺言者本人が公証役場に行き、遺言内容を口述する。
・相続人への通知がないため、相続人は公証役場へ遺言書の有無を確認する。
◆遺言書がある場合の相続手続き
遺言書がある場合は、基本的には遺言書の通りの遺産分割手続きが進められます。相続人か遺言執行者が手続きを進めますが必要な書類は遺言書無しの場合に比べて少なく、相続人の負担は軽くなります。主な手続きとしては遺言者の銀行預金口座の凍結解除と遺言書に基づく分配、不動産の場合は所有権移転登記です。(2024年4月より、相続登記が義務化されました)。登記申請は司法書士の専任業務ですが、必要であれば提携している司法書士をご紹介します。
②遺産分割協議書の作成
遺言書がない場合は、亡くなった被相続人の法定相続人が全員で、被相続人の遺産分割協議を行います。その結果を遺産分割協議書にまとめて、それに応じた相続手続きを実施します。
<1>相続人確認
死亡した被相続人の法定相続人の確認が必要になります。
確認ために必要な書類 |
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・附票・除票他 |
・法定相続人の戸籍謄本・住民票他 |
※代襲相続、数次相続による法定相続人の変更・追加にご注意 |
<2>遺産の確認
相続財産(預貯金、金融商品、車両及び不動産他)の確認が必要です。
確認のために必要な書類 |
・預金通帳(残高証明書) |
・金融商品(株式他)保有証明書 |
・自動車車検証 |
・固定資産税納付通知表(名寄帳台帳) |
・不動産 登記事項証明書 |
<3>遺産分割協議書の作成
相続人間で協議した結果の遺産分割の内容を「遺産分割協議書」にまとめて、各相続人の署名捺印を頂きます。全員の署名捺印のある遺産分割協議書と必要書類(戸籍謄本・印鑑証明書・住民票他)があれば、各種相続手続き(遺言書がない場合の銀行口座の凍結解除や不動産の所有権移転登記の手続き)が可能になります。
遺産分割協議書の作成及び必要書類の取得を含めてお引き受け致します。また必要であれば不動産登記に必要な書類も準備して、提携する司法書士に提出代行しますので、ご相談ください。